日向ぼっこか。
そしてまたしてもすばらしい
日記のしょうかいです。
「空中キャンプ」より。
「オメコだらけ!」/二村ヒトシ


ふしぎなもので、他人から「あれをしなさい」と命令されると、たいていの人はなぜかやる気をなくす。ほんらい多少は興味のあることがらでも、それが指示になったとたんに発生する義務感みたいなものがかったるくなる。いったい自分はそれを命令されてやっているのか、みずから進んでやろうとしていたのか、その境界線がわからなくなり、自発性がさーっと散っていくのである。逆に「別にやらんでもいいのよ、いやむしろなにもしないでいいから」などといわれると、なんだか疎外されているような感じになってきて不安だし、「さては僕のたのしみを奪うつもりだな…」などと、よくわからない反抗心すらみなぎってくる。
二村ヒトシ氏のアダルトDVD「オメコだらけ!」である。わたしがよく行く、渋谷の高架下にあるアダルトDVDショップには、二村監督の作品がずらっと並んでおり、どれもおもしろそうで惹かれるパッケージばかりなのですが、今回はこの「オメコだらけ!」を購入しました。実にたのしく見ました。あと、文章中であまりなんどもこのタイトルを連呼すると恥ずかしいので、以下「OD!」としていいですか。OMKDRKでもいいけどね。パッケージに書かれた内容の説明文はこんな感じです。
「『AV撮影を見に来ませんか? 裸になってもならなくても、セックスしてもしなくてもかまいません。したくなったら、してください』という条件で、おこづかい程度のギャラではるばる新幹線に乗って来てくれた6人のナニワ娘」
おそらく二村監督は、女性の欲望が起動するその瞬間を作品に取り入れたいのだとおもう。それは、いぜんに見た「もしも朝の満員電車が…」にも共通するテーマで、撮影に禁止(キス以外の行為をしてはいけない)を持ちこむことがリアリティにつながっていた。おもうに、私の欲望のありかを教えてくれるのは、つねに他人である。たとえば、すっかり飽きてもう捨てようとおもっていたおもちゃを、「これ、捨てるんなら僕にちょうだい」といわれたとたん、なぜか惜しくなって「だめ」というように、欲望とはその価値を支え、裏づけする他者によって成立する。ふたりのAV女優がいやらしいことをする(つまりは欲望の裏づけ役である)。6人はそれを見学する。べつになにもしなくていい。もししたくなったら、してもかまわない。しかしこの「OD!」といい、二村監督は毎回よくこういうシチュエーション考えるよね…。
まずはなんといっても冒頭の自己紹介である。一室に集められた、見知らぬ女の子6人とAV女優ふたり。共通点といえば、全員が大阪出身ということだけ。ビデオ撮影という状況もあいまって、6人ともえらく緊張し、ものすごくぎくしゃくしている。こんな雰囲気から、服とか脱いだりするのかしら…。しかしカメラは実にうれしそうに、この「噛みあってなさ」を撮る(自己紹介中なのに話をまったく聞いてない女の子)。しかし、同郷のよしみと、関西弁というツールがうまく機能して、とりあえずはなごやかなムードで撮影は開始された。ああよかった。よかったやんかぁ自分ら、ってわたし(東北出身)もフェイクの関西弁でおもわず安心する。
わたしの見たところ、6人中で有望株はふたり。まずはさくらちゃん。この子は見るからに性的なオーラがでているというか、日常的に男性とまぐわっている感じ、そのセクシャルな余裕がにじみでていた。この子はきっとするんじゃないか。そんな気がした。そしてゆうこちゃん。彼女はこの6人の中ではいちばん地味である。いくぶん切りすぎた前髪のいけてない感じもキュートだ。服装や話し方などいかにもまじめで、じっさい性経験もすくないのだという。しかし、経験のなさは妄想でカバー。ゆうこちゃんはいったんエンジンがかかったら、すごいんじゃないだろうか。ただしそのエンジンがかからないまま終了ってことはあるかも知れない。
進行は、AV女優ふたりが、でてきた男性と性行為。それを6人が観察。ただし、随時ふたりの女優さんからのお誘いがあり、たとえば「なあ、ちょっとチクビさわってみよか?」「ほら、勃ってきたでー。これ、見てみいな」等のサジェスチョンがあり、参加は自由。やはりゆうこちゃんの目線がすばらしい。カメラも、うつむきながらのチラ見をくり返すゆうこちゃんの表情を逃さない。2秒ごとに見たり目をそらしたりを連続させる。これ、いいなあ。さくらちゃんはやはりアグレッシブで、わりと積極的にさわっている。わたしの予想はただしかった。
女優ふたりの性行為は、ほとんど模範演技とかエキシビジョンみたいなかたちで余技的に披露されており、それを眺める6人の目線があくまで中心というところもおもしろかった。わたしは知らなかったのですが、紅音ほたるさんという方はすごいねえ。彼女はかなり派手に潮を吹くんですが、それが犬小屋の火事くらいなら消せるほどに大量なのである。冗談ぬきでCGかとおもった。それがほたるさんの特技なのだ。ゆうこちゃんも、「想像の十倍くらいでてた!」とびっくり。いいリアクションである。
進行とともに、だんだんガードが外れてきて、それぞれが自らの欲望を行使していくようすが見れるわけですが、どの子がしてしまったのかは説明しないようにします。でもやはりゆうこちゃんは最後までとてもよくて、恥ずかしがりながらもモチベーションは高まる一方という風情がすばらしい。彼女が下着を取るとものすごく陰毛が濃いというのもぐっときました。周囲から「ゆうこちゃんボーボーやんか」「密度めっちゃ濃いで」などといわれるのだが、本人そこはあまり恥ずかしくないらしく、「はい、わりと」とふつうに答えていたのがおもしろかったです。あと、ブリーフ一丁であらわれた男性に、「ほら、このブリーフ、綿やからめっちゃさわりごこちええで」といって女の子の手をさりげなく誘導した女優さんは天才だなと感心しました。
女性はいくら透明少女をきどっても僕はだませません。
といって26年だまされてきたわけですが。