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1981/09/30
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あこがれる人、江頭「ワンクールのレギュラーより、一回の伝説」
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わだっちが言っていた
「公演後は鬱になる」
これがそうなのか。

いや、違う。これが鬱というのなら僕はずっと鬱だ。

鬱なんて言葉、嫌いだ。

ジュテーム・ボンジュール
ボンソワール・セーヌガワー

メールも返せないでいる。というか昨日の夜から家の中で携帯が行方不明に。

どうしようもねえ。

ギター弾くしかねえ。



そういえば思い出した。
僕が始めて付き合った彼女のこと。「付き合う」。未だにその意味が分かんないけど。

彼女はバイトで知り合った子で、僕は20才目前だった。
観覧車で始めて、人生で始めてキスをした。
今書いてみてうおおおおおおおおおおおおっと
叫びだしたくなるほど恥ずかしい事実だが、これは事実だ。
観覧車で初キスなんて一生かくしていくには僕には荷が重過ぎる。しっかしきっついわー。

そのあと1ヶ月もしないうちに別れた。音信不通になってしまった。

僕は理由が分からないので、その子の住んでいた阿佐ヶ谷駅で、あの子が
電車を使うのか、そもそも今日阿佐ヶ谷にいるのかも分からないまま、
9時間ぐらい彼女が目の前を通りはしないか、ずうっと待っていた。いわゆるストーカーだ。
本当のところ、自分は気づいていた。きっと彼女にとって、僕はがっかりする存在だったのだろう。
僕は、もし会えたとしてももう終わりであることは十分に納得していた。ただ、
なんかありがとうとかごめんなさいとか、よくわかんないけどそういうことが言いたかった。
呆然と、改札の方を眺めるだけの時間が過ぎた。日が暮れていった。
僕の人生はなんでこんなにギャグみたいなんだろうと思った。

そのとき電話がかかってきた。
同じバンドサークルのT君だった。
とてもおしゃれなやつで自分とはちょっと住む世界が違うと思っていたやつだった。
もてるし、頭もいい、喋ることも面白い。そして何よりやさしいんだ。出来すぎ君だ。嫌いになりそうだった。

T君は僕が今何をしているのかを聴いてきた。僕は彼女と音信不通になってから、
少しT君にそのことを相談していたので
こらえきれずに今の状況を打ち明けた。

1時間後にT君が来た。T君が一緒に待ってくれると言い出した。

すこし寒い9月の頭の日、僕らは阿佐ヶ谷駅の前で、彼女を待った。
T君はその間ずっと自分の高校の頃の彼女の話をしていた。始めて付き合った彼女1年半付き合ったけど、
受験勉強のごたごたの中でうやむやに別れてしまった彼女に
最近ばったり東京で会ったらしい。その時彼女はまだT君のプレゼントしたネックレスをつけていたらしい。
。その彼女にT君は「あのとき別れるって本気じゃなかったんだよ」といわれたそうだ。T君はまだ彼女が好きだった。でも何も言えなかったらしい。
そんな話を静かに僕に喋りつづけてくれた。

結局僕の彼女は来なかった。
僕の元彼女になったんだと、僕は思った。

「お前、すごいな、こんなに待つなんて。・・・まあ、今度家に遊びにこいよ」とT君が言った。
ありがたかったな。別にすごくもない、ストーカーじみた僕の行動に対しての彼の言葉は。
そして僕らは別れた。T君はバイクで。僕はさっきまで眺めていた改札を使ってホームへ。

T君はほんとうにいいやつだ。出来すぎだ。

そしてまもなくヤラハタ(女の子とHなことをせずにに20才を迎える男性の敬称)が一人誕生した。

T君とはそのあと僕のあさはかさのせいで疎遠になってしまい、今はどこで何をしているのか
わからない。
T君。ごめんなさい。ありがとう。

そして、ありがとう。Yさん。


あ、キリングミー・ソフトリーって映画があったなあっておもったら
だんだんキリンになってしまう自分という意味にもとれるなあとなんか思いついた。
あーだからだめなんだ俺
ソフトリー



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